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厳冬期の読書習慣4

2010-01-29 07:36
 ストーブの赤い炎を受けながら、まったりと読む一冊。今回は北森鴻さんの「深淵のガランス」。

 恥ずかしくも、表題にある「ガランス」(色名)と言う言葉さえも知らないほどに絵画知識に疎かった。それが故に、未知の世界を知りたい事も影響し、読んでみる事となった。

 主人公の佐月は、絵画修復師と言う特異な仕事をしており、なおかつ花師の顔を持つ。絵画修復師は何となく職種が判るが、花師と華道家の違いが判らない。華道家の大枠に花師が入るのか、はたまた花師の枠の中に、華道家が入るのか・・・。我が知人が長野オリンピック時に、Mウェーブの入口正面にドカ~ンと花を生けた。“華道家の域を超えているなー”と思ったのだが、これが花師なのか・・・。ちょっと余談・・。

 絵画の世界は高額なお金が絡む。ブルジョアと言うべき方々の世界であり、登場人物には、暗躍するお金持ちが居る。胡散臭さを強調するように華僑のような位置付けになっており、全ての糸を引く。終始、ピンと張り詰めた空域感があるのは、花を使うにしても、絵画を扱うにしても、「繊細」と言う部分があるからかと思えた。そして作品中でなされる会話は、やや粗暴なものが多い。それがさらに輪をかけて、作品の鋭利さに繋がっていた。

 細かい絵画修復の手法が記され、技術の高さとともに「面白そうな」という興味も湧く。それこそ知らない世界を覗き見た感じで、新鮮な作品でもあった。美大などに通う学生などは、もっと面白く読めるのかと思うし、読んで欲しいと思えた。

 佐月の右腕と言えよう前畑の存在もとてもいい。そして佐月の周囲に女性が出てくるが、あまり色恋表現が多なく、あってもドライな感じ。もう少しここらへんがドロッとしているのかと思ったが、あくまでも作者の力を注ぐ部分は、絵画修復の専門解説となる。

 最後の最後に知った知識。傘の石鎚のネジと、カメラの三脚を設置するネジ穴が、ほとんどのもので合うそうである。何かの時に役に立つかも・・・。

 北森さんの作品を初めて読ませていただいた。独特な空気感は、けっこうはまりそうかも。