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副詞節がある否定文での副詞節と否定の関係について

2007-12-02 21:59
副詞節がある否定文での副詞節と否定の関係について質問があります。
具体的には次のような例で副詞節に否定が効いてくるのですか?

(1)He did not show up as I expected.
ここでas I expectedは「私は彼が現れないと予想した」か「私は彼が現れると予想した」のどちらの意味ですか?

(2)He did not go back because he was a coward.
これは「彼は臆病者であったので戻らなかった」の意味ですか?

Re^1: 副詞節がある否定文での副詞節と否定の関係について

2007-12-04 00:02
Shogo さん、

副詞/句/節がある否定文で、否定語が支配/影響する範囲を "scope of negation" (否定の範囲) と呼びますが、それについては明確になっているケースと、一概に言えないケースがあります。

Shogo さんが挙げられた(1)と(2)の例文は、特に(2)は、一概に言えないケースと考えられると思います。最終的には、背景や常識などの言外情報から解釈されることになると思います。

"scope of negation" については、、"A Comprehensive Grammar of the English Language" ("CGEL"), by Randolph Quirk, Sidney Greenbaum, Geoffrey Leech, Jan Svartvik (ISBN: 0-582-51734-6) という参考書の 10.64 に説明があります。

"CGEL" にある基本的な説明をまとめますと、否定の範囲は、通常は、否定語からその節の終わりまでとなります。最後にくる "adverbial" (副詞語句) は必ずしも否定の範囲に含まれるわけではありません。否定語の前にくる "adverbial" は通常は、否定の範囲に入りません。そして、従属節 (副詞節) については、否定の範囲が従属節まで及ぶ場合もときどきあります。

"CGEL" にある例文を借りてきて挙げると (否定の範囲を {...} で示すと ) :

  She definitely did{n't speak to him}.
  [ It's definite that she didn't speak to him. ]

  She did{n't definitely speak to him}.
  [ It's not definite that she spoke to him. ]

上記は、副詞 "definitely" が、否定語 "not" の前にある場合は否定の範囲外、否定語 "not" の後にある場合は否定の範囲内、であるということを示す例文です。

  I was{n't listening} all the time.
  [ For the whole time, I wasn't listening. ]

  I was{n't listening all the time}.
  [ It is not true that I was listening all the time. ]

上記は、最後にくる副詞句 "all the time" は、否定の範囲外の場合もありえるし、否定の範囲内の場合もありえる、ということを示す例文です。会話の場合は、イントネーションやストレスの違いがあります。

  She did{n't know I would come to her whenever she needed any advice}.

  I would{n't like you to disturb anyone}.

上記は、最後にくる従属節まで否定の範囲が及ぶ場合の例文です。


特に、否定語の後にくる "as" や "like" については、"Practical English Usage", by Michael Swan (ISBN: 0-19-442098-1) という参考書の 326.6 に説明があります。それをまとめると、否定節の後に、対比の "as" か "like" がくると、通常は、前の肯定部分を言及します (すなわち、"as" や "like" で始まる句/節まで否定の範囲が及びます)。 否定節の前に対比がくると、対比は節全体を言及します (すなわち、"as" や "like" で始まる句/節には否定の範囲は及びません)。

その参考書の例を2つ借りてくると:

  I don't smoke, like Jane.
  [ Jane smokes. ]

  Like Mary, I don't smoke.
  [ Mary doesn't smoke. ]

上記のことを鑑みると:

> (1)He did not show up as I expected.

については、通常は、否定の範囲は "as I expected" を含み ("as I expected" は肯定部分を言及)、"as I expected" は「私は彼が現れると予想した」の意味となると思います。

すなわち、否定の範囲を {...} で示すと:

  He did {not show up as I expected}.

となります。

ただ、常に上記のようになるわけでなく、否定の範囲が "as I expected" には及ばず、「私は彼が現れないと予想した」の意味になることもありえ、最終的にどちらになるかは、背景や常識などの言外情報から解釈されることになると思います。

もし、「私は彼が現れないと予想した」ことを明確にするためには、"as I expected" を前にもってきて:

  As I expected, he did not show up.

などとするほうがよいと思います。


"because" で始まる従属節のある否定文は、しばしば曖昧になるということが、"Practical English Usage" の 371 に載っています。その参考書から例文を借りると:

  I didn't sing because Pam was there.

という文では、"My reason for not singing was that Pam was there" か、"My reason for singing was not that Pam was there" かの意味の可能性があります。

"My reason for not singing was that Pam was there" を明確にするためには、"because" で始まる従属節を前にもってきて:

  Because Pam was there, I didn't sing.

となります。

上記のことを鑑みると:

> (2)He did not go back because he was a coward.

については、「彼は臆病者であったので、彼は戻らなかった。」か、「彼が戻った (退却した) のは、彼が臆病者であったわけではない」かの意味の可能性があります。

「彼は臆病者であったので、彼は戻らなかった。」の意味の場合について、その文の否定の範囲を {...} で示すと:

  He did {not go back} because he was a coward.

となります。

「彼が戻った (退却した) のは、彼が臆病者であったわけではない」の意味の場合について、その文の否定の範囲を {...} で示すと:

  He did {not go back because he was a coward}.

となります。

もし、「彼は臆病者であったので、彼は戻らなかった。」を明確にするには、"because" で始まる従属節を前にもってきて:

  Because he was a coward, he did not go back.

などとするほうがよいと思います。

もし、「彼が戻った (退却した) のは、彼が臆病者であったわけではない」を明確にするためには、例えば "because" で始まる節だけを否定して:

  He went back not because he was a coward.

などとする手もあると思います。

ただ、"not because ..." を用いると、それに続けて "but because ...: などと真の理由を言及する場合のほうが圧倒的に多いと思え、もし、"not because ..." だけで終えると中途半端な印象になる可能性もありえると思えます。

そのため、読者/聞き手が "He went back." ということを知っているケースでは、元の例文:

> (2)He did not go back because he was a coward.

とするほうが自然と考えることができると思います。


意味が曖昧になる可能性があるにもかかわらず、否定文で、副詞/句/節を文末などにもってくる例があるのは、実際には、読者/聞き手が、背景や常識などの言外情報によって、文意を正しく解釈できるケースがあるためと思います。また、会話の場合では、イントネーションやストレスによって、否定の範囲が明確になることもありえます。逆に、誤解が生じる恐れがある場合には、曖昧さを避ける工夫をする必要があると思います。

Re^2: 副詞節がある否定文での副詞節と否定の関係について

2007-12-09 21:22
MKさん、ご回答ありがとうございました。とても勉強になりました。